菜の花の大学図書館日誌
理系出身だったことを忘れかけている司書・菜の花の、大学図書館な日々。
えっ、所蔵していないのに?
- 2010/04/28 (Wed)
- 4-6年目(某文系図書室編) |
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253日目(通算950日目)。また遅くなってしまった。
ええと、アップデートが。ですが。
今日は朝から、図書館システムで予約についての処理をしていて、以前にも思った「これって不便な点だよね」というのをあらためて考えてみて、でもやっぱり不便じゃないかもしれない、と思い直してみて…ええと、迷ってました。システムに任せるべきか、運用で習慣づけるべきか。それは部署ごとに異なる判断になりそうな。もうしばらく、悩んでみましょう。「思いついたことを思いついたときに、深く考えずにとりあえず人に投げつける!」というのが、実は趣味なんでは?とすら思える菜の花にしては珍しいこと。猪突猛進ってやつ?まあ…たまには。
本日のメインは書誌作成。主に、追悼論文集や記念論文集を中心に作成していました。全部和書でしたね、珍しく。他の追悼論文集の書誌を眺めていると、「件名」として追悼されている先生の名前が入っていたのですが、「そうしなさいよ」とコーディングマニュアルに書いてあるのかなあと探したものの、よく分からず。でもみんなが書いているから、きっとどこかに規定があるのだと思うのです。どこだどこだ。
それにしても、還暦とか古稀とかでこんなに立派な論文集を出される先生って…、よほどの方ですねー、と。ハードカバーで全6巻、という先生もいらっしゃいましたよ。追悼ではなく、長寿のお祝いでしたけど。肖像とか凝ってました。…いやー、うちの先生(恩師)にも、これくらいのことをして差し上げないとダメな気がどんどんしてきました。んー…でも先生、そういうタイプに見えないですしね(どういうタイプ?)。
ひと段落して、ILL担当のOさんが山ほど本を積み上げて何か調べ物をされていらっしゃったので声をかけてみて、最近抱えているという問題を初めてお聞きしました。他機関から、うちが持っている戦前の新聞の書誌調査依頼のようでした。何でも、利用者さんが持っている典拠では、月刊であるその新聞名と、著者名、論題、出版年月が書いてあり、2件の依頼のうち1件は掲載号も分かっているそうです。何だ、殆ど分かっているんじゃないですか、と思いきや、それが号と出版年月が合わないので書誌調査を依頼したい、という内容のレファレンスでした。へー。合わないんですか。そうですか。で、Oさんはきっと典拠が間違っているに違いない、と、よく似た資料(タイトルが似ている同じ機関が発行している資料)を片っ端から積み上げて、何十冊と目次を確認されていたのです。何ということ!何時間かけるおつもりですかー。それなのに「時間がない、他の仕事が…」と仰っているOさん…良い人過ぎます…(T-T)。まずは、その力技仕事の費用対効果、一緒に考え直しましょう…。
というわけで、久々のレファレンス参戦。こういうときは、典拠を知りたいな、と思うのはレファレンサーなら誰しも思うところではないでしょうか。んー、まずはぐぐってみましょうか?どこかに情報が転がっているかもしれませんし。…ささっとぐぐってみたところ、特に芳しい成果はなし。もう少し絞り込みましょう、CiNiiで著者を検索。うーん、、、とりあえず、199件ヒットしてきたので、ざっとタイトルと書誌事項を確認していきますが、少なくとも探しているものずばりはなさそう。いや、むしろここで拾えたのは、さっきまで一生懸命書誌を作っていた「追悼論文集」「還暦記念論文集」です。あ、出てるんだ。でも雑誌掲載かー。もしかしたら、図書もあるのでは。それで、うちの大学の蔵書検索をしてみたところ、まさにうちの図書室で所蔵しているではないですか。じゃあ、確認してみましょ。こういう記念論文集には、著者略歴とともに、著作目録が載っていることも多いです。ここで確認できたらラッキーです。
最初に見つけたのは追悼集の方。こちらの著作目録は、残念ながらかなり数が少ない。本としてまとめられたものだけでしょうか。ただ、本文中にはいくつかの古い雑誌や新聞の掲載記事が入っていました。くまなく探してみたところ、タイトルは異なりますが内容的には合致し、出版年月もほぼ同じものが見つかりました。もしかしたら、論題違いであって、この記事のことを指しているのかもしれないと考えましたが、断定は出来ません。
次。還暦祝いの方。こちらはまだ著者がご存命なので、本人作成の著作目録でした。む…かなり細かい。しかも大正時代からきっちり年代順に書かれていて…って、あったー!!依頼された2件とも、まさにこの通りに書かれてたっ!号が合わないのも同じ。ということは、きっとこれが典拠だ…。自作著作目録が典拠かー。信頼性が比較的高い典拠ですね、実際、間違ってますけど。。。
そこで、菜の花はふと気付きました。Oさん、どうして別のタイトルの資料ばかり探して、本体には当たらないのですか?本体のその年月のものに載っていなくても、周辺にはなかったのですか?と…。
「あ、だってその辺の年代のその新聞、うちで所蔵してませんから。」
…って、、、ええええぇぇぇぇ!?所蔵して…ない?ってことは、「号を無視してその年月のその新聞」が未確認の状態で、他の資料を積み上げて確認していたのですか?うそー…。そこはまず、持っているところにお願いして確認して頂くべきでは…?それ以外のものに当たるのは、そのあとだと菜の花は思うのですけれども!
何しろ、著者本人の書いた著作目録でここまではっきり書かれているのですから、書誌事項のうち何もかもが間違っている、という可能性はとっても低いと思うのですよ!まずは1つだけ、「号が間違っている」説の確認では!?「号は正しく年月が間違っている」もありえますが、その新聞はそもそも、その号まで出ていないようなのでそれはなさそうです。論題の意味と、著者の経歴を照らし合わせても、年月はかなり信頼できます。だからその次に疑うのが「年月も掲載号も正しいが、掲載誌名が間違っている」だと思うのですよね。それからじゃないですかねっ!それがどうして、「年月、掲載号、掲載誌名のすべてが間違っている」説からスタートして、周辺数年分の似た雑誌を積み上げることになっているんですか~!!
はーはー…何と言うか…何と言うか…Oさんはとっても生真面目で、今すぐ手元で出来ることは全部やらないと気がすまない、良い人過ぎるレファレンサーなんだ…自分にはとても真似できない…とがっくりと膝を落とした菜の花でした…。
結局、その新聞のその年代分を所蔵している図書館は1つも見つかりませんでした。そうか、だからうちの大学にレファがきたんだ…、と気付きました。その新聞を出した組織の後継組織が他ならぬ、うちの大学の内部にあるからです。というか、隣の建物にいるし!!その組織に図書室はないですけど、古い資料くらい、眠ってるんじゃないですかねー。まずはそこを漁ってくるのが一歩じゃないでしょうか。そこになかったら、あとはもう、「うちでは所蔵がないから確認できませんでした、ゴメンナサイ」と、「周辺の資料も、これとこれを、ここからここまで確認しましたが見つかりませんでした」として、「それ以上の確認が必要なら来館してみてね」でこのレファレンスは一旦返すのがよろしいのではないかと。だってOさん、すでに後ろに仕事が積みあがってます…。Oさんの作業されるのを待っている利用者さんが、全国に何人もいらっしゃいます。ここで止めていると、困る人もいますし、そもそも最初にレファを入れてきた方だって、ある程度の進捗状況を報告して相談しないと次の対策が立てられません。ひとりで全部抱えても、良いことは何もありません。もしかしたら菜の花は冷たいレファレンサーかも。でも、やっぱり業務の優先順位的には、こういうものじゃないかな、と思うのです。
とりあえず、その新聞を出した組織は現在でも研究者がいますので、その人が金曜日に大学にいらしたときに確認する、ということで決着。あるといいですね、その新聞。ホントに。こんなに頑張ったのに、迷宮入りは哀しいです。
ええと、アップデートが。ですが。
今日は朝から、図書館システムで予約についての処理をしていて、以前にも思った「これって不便な点だよね」というのをあらためて考えてみて、でもやっぱり不便じゃないかもしれない、と思い直してみて…ええと、迷ってました。システムに任せるべきか、運用で習慣づけるべきか。それは部署ごとに異なる判断になりそうな。もうしばらく、悩んでみましょう。「思いついたことを思いついたときに、深く考えずにとりあえず人に投げつける!」というのが、実は趣味なんでは?とすら思える菜の花にしては珍しいこと。猪突猛進ってやつ?まあ…たまには。
本日のメインは書誌作成。主に、追悼論文集や記念論文集を中心に作成していました。全部和書でしたね、珍しく。他の追悼論文集の書誌を眺めていると、「件名」として追悼されている先生の名前が入っていたのですが、「そうしなさいよ」とコーディングマニュアルに書いてあるのかなあと探したものの、よく分からず。でもみんなが書いているから、きっとどこかに規定があるのだと思うのです。どこだどこだ。
それにしても、還暦とか古稀とかでこんなに立派な論文集を出される先生って…、よほどの方ですねー、と。ハードカバーで全6巻、という先生もいらっしゃいましたよ。追悼ではなく、長寿のお祝いでしたけど。肖像とか凝ってました。…いやー、うちの先生(恩師)にも、これくらいのことをして差し上げないとダメな気がどんどんしてきました。んー…でも先生、そういうタイプに見えないですしね(どういうタイプ?)。
ひと段落して、ILL担当のOさんが山ほど本を積み上げて何か調べ物をされていらっしゃったので声をかけてみて、最近抱えているという問題を初めてお聞きしました。他機関から、うちが持っている戦前の新聞の書誌調査依頼のようでした。何でも、利用者さんが持っている典拠では、月刊であるその新聞名と、著者名、論題、出版年月が書いてあり、2件の依頼のうち1件は掲載号も分かっているそうです。何だ、殆ど分かっているんじゃないですか、と思いきや、それが号と出版年月が合わないので書誌調査を依頼したい、という内容のレファレンスでした。へー。合わないんですか。そうですか。で、Oさんはきっと典拠が間違っているに違いない、と、よく似た資料(タイトルが似ている同じ機関が発行している資料)を片っ端から積み上げて、何十冊と目次を確認されていたのです。何ということ!何時間かけるおつもりですかー。それなのに「時間がない、他の仕事が…」と仰っているOさん…良い人過ぎます…(T-T)。まずは、その力技仕事の費用対効果、一緒に考え直しましょう…。
というわけで、久々のレファレンス参戦。こういうときは、典拠を知りたいな、と思うのはレファレンサーなら誰しも思うところではないでしょうか。んー、まずはぐぐってみましょうか?どこかに情報が転がっているかもしれませんし。…ささっとぐぐってみたところ、特に芳しい成果はなし。もう少し絞り込みましょう、CiNiiで著者を検索。うーん、、、とりあえず、199件ヒットしてきたので、ざっとタイトルと書誌事項を確認していきますが、少なくとも探しているものずばりはなさそう。いや、むしろここで拾えたのは、さっきまで一生懸命書誌を作っていた「追悼論文集」「還暦記念論文集」です。あ、出てるんだ。でも雑誌掲載かー。もしかしたら、図書もあるのでは。それで、うちの大学の蔵書検索をしてみたところ、まさにうちの図書室で所蔵しているではないですか。じゃあ、確認してみましょ。こういう記念論文集には、著者略歴とともに、著作目録が載っていることも多いです。ここで確認できたらラッキーです。
最初に見つけたのは追悼集の方。こちらの著作目録は、残念ながらかなり数が少ない。本としてまとめられたものだけでしょうか。ただ、本文中にはいくつかの古い雑誌や新聞の掲載記事が入っていました。くまなく探してみたところ、タイトルは異なりますが内容的には合致し、出版年月もほぼ同じものが見つかりました。もしかしたら、論題違いであって、この記事のことを指しているのかもしれないと考えましたが、断定は出来ません。
次。還暦祝いの方。こちらはまだ著者がご存命なので、本人作成の著作目録でした。む…かなり細かい。しかも大正時代からきっちり年代順に書かれていて…って、あったー!!依頼された2件とも、まさにこの通りに書かれてたっ!号が合わないのも同じ。ということは、きっとこれが典拠だ…。自作著作目録が典拠かー。信頼性が比較的高い典拠ですね、実際、間違ってますけど。。。
そこで、菜の花はふと気付きました。Oさん、どうして別のタイトルの資料ばかり探して、本体には当たらないのですか?本体のその年月のものに載っていなくても、周辺にはなかったのですか?と…。
「あ、だってその辺の年代のその新聞、うちで所蔵してませんから。」
…って、、、ええええぇぇぇぇ!?所蔵して…ない?ってことは、「号を無視してその年月のその新聞」が未確認の状態で、他の資料を積み上げて確認していたのですか?うそー…。そこはまず、持っているところにお願いして確認して頂くべきでは…?それ以外のものに当たるのは、そのあとだと菜の花は思うのですけれども!
何しろ、著者本人の書いた著作目録でここまではっきり書かれているのですから、書誌事項のうち何もかもが間違っている、という可能性はとっても低いと思うのですよ!まずは1つだけ、「号が間違っている」説の確認では!?「号は正しく年月が間違っている」もありえますが、その新聞はそもそも、その号まで出ていないようなのでそれはなさそうです。論題の意味と、著者の経歴を照らし合わせても、年月はかなり信頼できます。だからその次に疑うのが「年月も掲載号も正しいが、掲載誌名が間違っている」だと思うのですよね。それからじゃないですかねっ!それがどうして、「年月、掲載号、掲載誌名のすべてが間違っている」説からスタートして、周辺数年分の似た雑誌を積み上げることになっているんですか~!!
はーはー…何と言うか…何と言うか…Oさんはとっても生真面目で、今すぐ手元で出来ることは全部やらないと気がすまない、良い人過ぎるレファレンサーなんだ…自分にはとても真似できない…とがっくりと膝を落とした菜の花でした…。
結局、その新聞のその年代分を所蔵している図書館は1つも見つかりませんでした。そうか、だからうちの大学にレファがきたんだ…、と気付きました。その新聞を出した組織の後継組織が他ならぬ、うちの大学の内部にあるからです。というか、隣の建物にいるし!!その組織に図書室はないですけど、古い資料くらい、眠ってるんじゃないですかねー。まずはそこを漁ってくるのが一歩じゃないでしょうか。そこになかったら、あとはもう、「うちでは所蔵がないから確認できませんでした、ゴメンナサイ」と、「周辺の資料も、これとこれを、ここからここまで確認しましたが見つかりませんでした」として、「それ以上の確認が必要なら来館してみてね」でこのレファレンスは一旦返すのがよろしいのではないかと。だってOさん、すでに後ろに仕事が積みあがってます…。Oさんの作業されるのを待っている利用者さんが、全国に何人もいらっしゃいます。ここで止めていると、困る人もいますし、そもそも最初にレファを入れてきた方だって、ある程度の進捗状況を報告して相談しないと次の対策が立てられません。ひとりで全部抱えても、良いことは何もありません。もしかしたら菜の花は冷たいレファレンサーかも。でも、やっぱり業務の優先順位的には、こういうものじゃないかな、と思うのです。
とりあえず、その新聞を出した組織は現在でも研究者がいますので、その人が金曜日に大学にいらしたときに確認する、ということで決着。あるといいですね、その新聞。ホントに。こんなに頑張ったのに、迷宮入りは哀しいです。
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プロフィール
HN:
菜の花
性別:
女性
職業:
大学図書館職員11年目
趣味:
読書、アニメ、ゲーム、Alto&Tenor Sax
自己紹介:
理系院卒の大学図書館員。産休・育休を1年挟み、ついに採用11年目。「参考調査担当」(3年間)→「某文系図書室(主担当:和洋図雑の目録)」(3年間)→「某資料室(主担当:総括&和洋図雑の目録)」(2年10ヵ月)→産休・育休(1年2ヶ月)→「閲覧担当」(2016年4月~)
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