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菜の花の大学図書館日誌

理系出身だったことを忘れかけている司書・菜の花の、大学図書館な日々。

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代替資料にぐらぐら

157日目(通算1532日目)。できれば、切り替えたい。

昨日の資料について、散々悩んでました。夢に見そうなくらい。朝、そのことについて最後の希望の図書室に内線をかけて確認したところ、その図書室では1冊だけ、その国の資料を買っていました。購入先を聞いて、確認したのですが、今探している資料は扱えそうにありませんでした。がっかり…。でも、そういうルートがあるのだという貴重な情報でした。ありがとうございます。

再びお隣の図書室のベテラン・H島さんに相談し、更に別の図書室にも聞き方を変えて確認をするなど、何とかその資料を手に入れられる別ルートは探しました。最終的に、幾つかの可能性が手元に。ありがたいこと。


でも菜の花、そもそもその資料を継続して買い続ける必要があるのかどうか?というもうひとつの問題と向き合うことになりました。その資料はこれまで冊子体で刊行されていたのが突然、eBook、つまり本体がCD-ROMになりました。本の形をしたケースに入ってくるので、見た目はあまり変わらないのですが、読み方は相当変わります。まず、その国の言語のOSが入っているPCが図書室にはないため、インストールのハードルが。文字化けしてしまうのです。目録をとる関係上、その言語が扱えるようにフォントなどは揃っているし、表示は不可能ではないはずなのですが、とにかく文字が殆ど「?????????????」となってしまい、解読不能な状況。それでも無理矢理、クリックできる位置などをみながら何とかインストールはしてみましたが、実行しようとするとパスワードを聞かれて終わります…。え!パスワード、何?メッセージも殆ど「?????」で伏字状態ですしね…。原因究明もできません…。現在、この件については納入書店さんに連絡して、そちらから出版社問い合わせ状態です。

さて、出版された直後からすでに、読み込みの困難な資料。eBookは嫌いではないですが、単独媒体のeBookは怖いのです。今すでにこの状態では、数年後、数十年後はどうなるのか。この資料のファイル形式がその頃使うことができるのか?そもそもCD-ROMを読み込める機械が生き残っているのか?そして、CD-ROM自体の寿命がきてしまったとき、中身をどう保存していくのか?

冊子体としての本が電子的資料に比べてとても優れている点は、適切な環境下で保管できたときの「長期保存性」、ぱらぱらとめくって概要をぱっと把握することができるという「一覧性の良さ」(全体の分量などを視覚的に把握できるのも重要)、そして何より…「再生のための環境依存性が少なさ」があります。

少し前だと、付属資料としてフロッピィディスクがついている資料が沢山ありました。が、今となっては、フロッピィディスクドライブが標準でついているPCは少ないと思います。USB接続のFDDを持っていないと、使えない資料となってしまいました。CD-ROMでも、読み込みはできても中身の再生ができない資料が現在、すでに出つつあります。動作環境がWin95でないと無理だ、というようなデータベースが、実際にうちの図書室でもありました。

そういう「再生環境」に左右されず、物理的にページを開けば中身を読むことが出来るという紙の資料というのは、実はとてつもなく凄いものなのです。そして今回、くだんの資料はその利点が失われてしまいました。この状況で、本当にこの資料を買い続けるべきなのか?

実は現状、この資料の利用はほぼ皆無です。以前、これを活用していた研究者が去り、この分野の資料を使う方が、いらっしゃらないわけです。ただ、今皆無だからと言って即、「要らない」とはいえないのが年刊資料の怖いところ。図書館は、今の利用者のためだけに存在するのではなく、何年、何十年、もしかしたら何百年か後にやってくる未来の利用者へも、資料を揃え、整理し、保存して、その利用に供していくという役割があります。単なる無料貸し本屋さんではないのです。そして年刊資料の場合、継続性が重要かつ、そのとき以外に手に入れるのが困難になってしまう(つまり10年前の特定の年のものだけを買おうとすると古本を探さなくてはいけないなど)ものがとても多いのです。本当に今、これをやめてしまっていいのか?何年後かにやってきた利用者さんが「どうしてこの先がないの、困った…」とならないか…、それが不安。そしてこの資料、リサーチ・ナビにも載っている資料なのですよね。なのに、NACSIS参加館で所蔵しているのはうちだけ。国立国会図書館さんはお持ちですけれども。

やめるという決断は非常に難しいです。難しいですが、午前中いっぱい悩んで、別の資料に切り替えようかと資料を集めました。同じくリサーチ・ナビに載っている、もう少し扱いやすい類書と、関連の別の年刊資料、そして金額的にもう少し余裕があったので、前々から希望の出ているうちの図書室で若干弱い部分の年刊資料…の3種類を組み合わせて代替資料(と、おまけ)として継続切り替えする提案を考えました。とりあえず、かかりちょうには相談しました。あとは、資料をきちんと作って、次回の委員会で先生方のご意見を伺って、承認して頂く、という作業ですね。もちろん、菜の花としてもおずおずなのです。もしもどこかで、誰かひとりでもストップをかけてくれたら…やめるのをやめるかもしれません…。さて、どうなることか。ああ、胃が痛い。本当は誰か、止めてくれないかな、と思っているのか、それともこのまま突っ走りたいと思っているのか…自分でもよく分かりません。



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プロフィール

HN:
菜の花
性別:
女性
職業:
大学図書館職員11年目
趣味:
読書、アニメ、ゲーム、Alto&Tenor Sax
自己紹介:
理系院卒の大学図書館員。産休・育休を1年挟み、ついに採用11年目。「参考調査担当」(3年間)→「某文系図書室(主担当:和洋図雑の目録)」(3年間)→「某資料室(主担当:総括&和洋図雑の目録)」(2年10ヵ月)→産休・育休(1年2ヶ月)→「閲覧担当」(2016年4月~)

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